省エネに効く!インバータ化のススメ - 省エネの仕組みと三菱電機の事例紹介 -


モータ制御用インバータは「汎用インバータ」とも呼ばれ、三相誘導電動機の回転数を簡単自由に変える事の出来る可変周波数電源装置です。可変速の用途は限りなく存在しますが、必要最小限のエネルギーで動力を稼働させ、ロスを抑える省エネルギーの側面が強い機器であることはご承知のことと思います。
今回は、インバータの省エネ効果の説明をするとともに、「独自の制御方法」でさらなる進化を遂げた三菱電機製品をご紹介したいと思います。また、実際にインバータに変えた場合の具体的な効果もご覧いただきます。
インバータがなぜ省エネにつながるのか
そもそもなぜインバータが省エネにつながるのか。なんとなく理屈はわかるけど、具体的にどのくらい効果が見込めるのかわからないという方は多くいらっしゃると思います。
ここでは、インバータが省エネにつながる理由を簡単にご説明し、三菱電機の製品を使用した際の具体的な効果をご紹介いたします。
インバータの省エネの仕組み
インバータは商用電源で駆動させる時より回転速度を落として使用することによって、大きな節電効果を得ることができます。
例えば、送風機(ファン・ブロア)やポンプなど、流体を制御する機械の回転力(トルク)は速度の二乗に反比例します。
また、「動力=回転速度×回転力」なので、送風機の回転速度を小さくして流量を少なくすると、必要な動力(電力)は回転速度の三乗に比例して小さくなります。つまり、風量(流量)を1/2にすると回転力は1/4、動力は1/8になります。
最適な風量(流量)が小さく済む場合、その割合以上に必要エネルギーは抑えられるということから大きな省エネ効果が得られるというわけです。
さらなる省エネと高精度化「最適励磁制御」方式
モータの回転速度を制御するインバータのうち、従来の「電圧・周波数比一定制御」がV/F制御です。この方式では、負荷ではなくモータの回転速度指令に応じて出力電圧と周波数が決定され、定格時に最適な特性が得られるように出力電圧特性が与えられています。
このため軽負荷-低速領域では、過剰な電圧がモータにかかり、モータ損失が大きくなって入出力特性が悪くなる傾向がありました。
そこで、さらなる省エネルギー化と高精度化をめざして三菱電機が開発したのが「最適励磁制御」方式です。
これは負荷に応じて出力電圧を決定できるため、とくに軽負荷・低速領域でV/F制御よりも効率が良くなり(例えばモータ負荷トルク10%時で効率15%アップなど)、さらなる省エネ化に貢献します。
プレミアム効率モータでさらに省エネ
インバータの比較をする前に、稼働するモータについて触れたいと思います。
日本ではモータの年間消費電力量はおおよそ5,430億kWhで、国内消費電力量全体の約55%を占めているといわれています。国内全体で見ればこのモータの効率改善を行うことで、大きな省エネ効果が得られることになります。
こういった背景から、省エネ法にて規制が入りました。
日本の高効率法規制について
日本では、2015年4月1日より「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」のトップランナー基準(IE3)にて、規制が開始されました。規制の対象(報告者)は製造事業者、輸入事業者であり、2015年4月1日以降は、トップランナーモータの供給が原則となりました。
三菱電機製モータ比較(標準効率モータとプレミアムモータ)
三菱電機では発生損失を標準効率モータ(SF-JR形 IE1基準値)40~50%削減する、より効率の高いプレミアムモータ(SF-PR形 IE3に対応)をご用意しております。さらに、IE4「スーパープレミアム効率」相当の効率レベルを実現したIPMモータ(MM-EFS/MM-THE4)もご用意しており、省エネ効果を実現する体制が整えられています。
省エネ比較(ダンパ制御 VS 汎用モータインバータ駆動VS IPMモータインバータ駆動
インバータにおける、ダンパ制御(商用電源駆動)、汎用モータ(SF-PR)インバータ駆動(最適励磁制御)、IPMモータ(MM-EFS)インバータ駆動の3つのパターンにおける省エネ効果を比較してみましょう。
条件(三菱電機の設計棟を想定)
運転台数
運転台数および使用電源、データ換算は以下の通りです。
- 外調機(送風機)
- 0.75kW×3台
- 1.5kW×1台
- 2.2kW×3台
- 空調機
- 15kW×1台
- 18.5kW×1台
- 30kW×2台
電源:200V 50Hz
電気料金:14円/kWh換算
CO2排出量:1,000kWh≒0.555ton-CO2換算
運転パターン
運転パターンは、6時から21時までの稼働時間の中で決まった時間ごとに風量の割合(6~8時および20~21時が40%、8~10時および18~20時が60%、10~18時が80%)で変動する場合を想定しています。
結果(年間スコア)
まずは、運転パターンごとのスコアをご覧ください。
ダンパ制御の場合と比較して、格段に省エネ効果が出ていることが見て取れます。
- ダンパ制御(商用電源駆動)
- 年間消費電力 561,867kWh
- 年間電気料金 7,866,132円
- 汎用モータ(SF-PR)インバータ駆動(最適励磁制御)
- 年間消費電力 228,563kWh
- 年間電気料金 3,199,879円
- IPMモータ(MM-EFS)インバータ駆動
- 年間消費電力 215,785kWh
- 年間電気料金 3,020,996円
効果
ダンパ制御と比較した場合の効果としては、以下の通りです。
汎用モータ(SF-PR)+ インバータ駆動FREQROL-F800最適励磁制御)
年間消費電力 561,867kWh → 228,563kWh :約59%減
年間電気料金 7,866,132円 → 3,199,879円:467万円減
CO2に換算すると185tonの削減効果がありました。
IPMモータ(MM-EFS) + インバータ駆動(FREQROL-F800)
年間消費電力 561,867kWh → 215,785kWh:約59%減
年間電気料金 7,866,132円 → 3,020,996円:485万円減
CO2に換算すると192tonの削減効果がありました。
ダンパ制御から、インバータ化することで絶大な効果を得られることが確認できました。また、汎用モータからIPMモータ変えることでさらに削減効果が見込めることが確認できました。
インバータ化による省エネのまとめ
ご覧いただいたようにインバータ化すると大きな省エネ効果が得られることがご理解いただけたと思います。
それでは、インバータ化のメリットまとめです。
インバータ化のメリット
・インバータ化は商用電源駆動と比べ絶大な省エネ効果が見込める。
・三菱電機FR−F800では従来のV/F制御を超える省エネ効果を見込める「最適励磁制御」が採用されている。
・使用するモータの見直しでさらに省エネ効果が見込める(標準1高効率1IPM)
高木商会ではインバータ化やモータの見直しをおすすめします。是非、ご相談ください。