低雑音直流電源を用いた測定・評価の改善例


微小信号測定や高精度な信号検出が求められるアプリケーションでは、低雑音・高感度なアンプやセンサなどのデバイスが用いられます。しかし、これらデバイスの性能が良いだけでは最良の結果は得られません。供給する電源の質によっては,デバイス性能に影響を与える可能性があります。
NF回路設計ブロック(以下、当社)では微小信号測定機器の一部として、リニア電源の中でも非常に低雑音かつ高安定なLP シリーズ電源を販売しています。
フォトダイオード出力の S/N 比改善
一般的なフォトダイオードは逆バイアス電圧(Vb)を印加して使用します。このバイアス電圧の雑音は信号出力に大きく影響しますので,低雑音電源を用いて供給する必要があります。
バイアス電圧源の雑音がどの程度出力に影響するのかを図 2-1 に示す測定系において実測しました。
一般的なリニア電源を用いた時には検出したい信号が雑音に埋もれて観測できませんでした。一方で,当社低雑音直流電源 LP5394 を用いるとしっかりと観測することができます(図 2-2)。
このように、同じデバイスを用いたとしても供給する電源の質によって、出力に大きな差が生じます。低雑音・高感度なデバイスを使用する場合には、電源の質に気を付ける必要があることが分ります。
電圧制御水晶発振器の安定性向上
電圧制御水晶発振器のように、電圧制御を行う高精度なデバイスは制御電圧の雑音や安定性が、デバイスの機能や性能に直結します。このようなデバイスの製品検査や評価を精確に行い、また最大限の性能を引き出すためには低雑音かつ高安定な電圧源を使用する事が重要です。
制御電圧源の雑音や安定度がどの程度出力に影響するのかを図 2-3 に示す測定系において実測しました。
※VCXO(Voltage Controlled crystal Oscillator):電圧制御水晶発振器
※TCVCXO(Temperature Compensated Voltage Controlled crystal Oscillator):温度補償型電圧制御水晶発振器
<測定条件>
TCVCXO の中心周波数:約 30MHz,測定周期:1Hz,測定数:40,000 回,総測定時間:約 11 時間,周囲温度:23±5℃
結果は図 2-4 に示す通り,一般的なリニア電源を用いた時と当社低雑音電源 LP5394 を用いた時では、出力周波数のバラつきに倍以上の差が出ます。
このように,同じデバイスを用いたとしても供給する電源の質によって,出力周波数のバラつきに差が生じます。高精度が求められるデバイスを使用・評価する場合には,電源の質に気を付ける必要があることが分ります。
※株式会社NF回路設計ブロックよりご寄稿いただいた原稿をもとに、高木商会が一部編集をいたしました。