SIMOTICS E ArgoDriveとは?AGV・AMRの全方向移動を実現する駆動・操舵システム
この記事はシーメンス株式会社が提供する製品の情報です。
シーメンスの「SIMOTICS E ArgoDrive」は、モーター、ギアボックス、操舵機構、 高分解能センサー、ブレーキ、各種接続部を一体化した、 AGV・AMR向けの駆動・操舵システムです。 停止した状態から全方向へ移動できるため、限られたスペースでの方向転換や、 障害物に応じた柔軟なルート変更を可能にします。
工場内物流の省スペース化や搬送経路の柔軟性向上を検討している設計者、 AGV・AMRの構成機器を選定している購買担当者にとって、 次世代の搬送システムを構築するための有力な選択肢です。
SIMOTICS E ArgoDriveとは
「SIMOTICS E ArgoDrive」は、バッテリー駆動の無人搬送車に向けて開発された、 コンパクトな駆動・操舵システムです。 AGV(Automated Guided Vehicle)や AMR(Autonomous Mobile Robot)などの移動機構において、 駆動と操舵に必要な機能を1つのユニットに集約しています。
360°回転できる機構により、前後左右を含む全方向への移動に対応。 停止状態からでも任意の方向へ移動できるため、 従来の搬送車両では方向転換が難しかった狭い場所でも、 スペースを有効に使いながら走行できます。
また、高分解能センサーと低バックラッシュ機構を採用し、 搬送車両を目的位置へ高精度に位置決めします。 生産設備へのワーク受け渡しや、決められた停止位置への正確なアプローチが 求められる用途にも適しています。
従来のAGVが抱える走行ルートの課題
AGVやAMRは、イントラロジスティクスや工業生産のさまざまな場面で 利用されています。一方、従来型のAGVには、床面のラインや 固定された走行経路に従って移動する方式も多く、 生産ステーションへの柔軟な接近や経路変更が難しいという課題があります。
ArgoDriveを搭載した搬送車両は、走行エリア内を自由に移動し、 予期しない障害物にも柔軟に対応できます。 狭い通路や設備が密集した場所でも全方向へ移動できるため、 搬送経路と設備レイアウトの自由度向上に貢献します。
SIMOTICS E ArgoDriveの主な特長
1.停止状態から全方向へ移動
ArgoDriveは、360°回転可能な駆動・操舵機構により、 停止した状態から任意の方向へ移動できます。 切り返しに必要なスペースを抑えやすく、 狭い場所での方向転換や生産設備への横付けにも有効です。
2.2基のモーターによる高い動力性能
2基のモーターが、走行と操舵に必要な駆動力を供給します。 空間効率を考慮して駆動力を2基のモーターへ分散することで、 コンパクトな構造と高い出力性能を両立しています。
- 短時間で最大300%の出力に対応
- 加速・制動性能:最大2.5m/s2
- 速度:最大3m/s
- 安全特別低電圧48Vによる設置の簡素化
3.全モデル共通のコンパクトな設置面積
Light、Standard、Heavyのすべてで、本体の長さと幅は 250×170mmです。複数の機械的な固定ポイントを備え、 車両内での取り付け位置や向きを柔軟に設定できます。
高負荷と高性能用途を考慮した堅牢な構造により、 長期使用を想定したAGV・AMRの設計に対応します。
4.搬送条件に合わせて選べる車輪
負荷条件に合わせて、直径80mm、100mm、145mmの 3種類を選択できます。1輪あたり最大500kgの荷重に対応し、 最大10%の勾配を走行できます。
車輪はアクセスしやすく、短時間で交換できる構造です。 ギアボックス下の最低地上高は、仕様に応じて26~128mmとなります。
5.コンディションモニタリングと予知保全に対応
コンディションモニタリングと予知保全への対応により、 搬送設備の信頼性向上を支援します。 保守計画を考慮したAGV・AMRの設計にも適しています。
通信インターフェースと機能安全
主要な産業用ネットワークに対応
ArgoDriveは、外部コントローラーとの組み合わせにより、 以下の通信方式と安全機能に対応します。
- CANopen:STO(セーフトルクオフ)はハードワイヤ接続
- EtherCAT:STO(セーフトルクオフ)はハードワイヤ接続
- PROFINET:STO(セーフトルクオフ)、SLS(安全制限速度)、SDI(安全方向)
産業用プラグイン接続を採用し、電気、機械、制御の各インターフェースは 全バリエーションで統一されています。 モデルを変更する場合も共通性を確保しやすく、 設計やプロジェクト計画の効率化につながります。
冗長構成を取り入れた機能安全設計
ステアリング角度を継続的に取得するとともに、 機能安全に向けた冗長情報を提供します。 高度なブレーキユニットと冗長センサー技術を組み合わせ、 機能安全要件への対応を支える構造を備えています。
- 冗長エンコーダシステムSSI
- 独立したステアリング角度検出
- センサーのMTTFd値
- ブレーキのB10値
- 緊急停止機能を備えたブレーキ
※通信および安全機能の利用には、外部コントローラーが必要です。 実際の安全設計では、車両全体の構成と要求仕様に基づく確認が必要です。
用途に合わせて選べる3つのモデル
ArgoDriveには、Light、Standard、Heavyの3モデルがあります。 必要な積載能力、走行速度、車高、最低地上高に合わせて選定できます。
| 項目 | Light | Standard | Heavy |
|---|---|---|---|
| 本体寸法(長さ×幅) | 250×170mm | 250×170mm | 250×170mm |
| 車輪径 | 80mm | 100mm | 145mm |
| 最大荷重(1輪あたり) | 100kg | 300kg | 500kg |
| 定格速度 | 3m/s | 2m/s | 1.5m/s |
| 全高 | 103mm | 123mm | 205mm |
| ギアボックス下の最低地上高 | 26mm | 45.5mm | 128mm |
| ブレーキディスク下の最低地上高 | 11mm | 12mm | 14mm |
複数のArgoDriveを組み合わせることで、 搬送要件に合わせた車両構成が可能です。 システムとしては、最大10%の勾配と最大2,000kgの荷重に対応します。
SIMOTICS E ArgoDriveが活躍する分野
ArgoDriveは、搬送物の重量や走行環境に応じて構成を調整でき、 さまざまな産業分野のAGV・AMRに活用できます。
- イントラロジスティクス
- 工場や物流施設内での部品、材料、製品の搬送など、 高度な工場内物流の課題に対応します。
- 自動車生産
- 工程間搬送や設備間のスムーズな連携により、 生産システムの柔軟な接続を支援します。
- モバイルロボティクス
- 全方向移動と自由な車両設計により、 モバイルロボットの機動性を高めます。
- 医療技術
- 迅速な応答と、より高い安全性が求められる搬送用途に適しています。
ArgoDriveの選定時に確認したいポイント
最適なモデルを選ぶには、単体仕様だけでなく、 AGV・AMR全体の構成と実際の使用条件を整理することが重要です。
- 搬送物と車両を含めた総重量
- 1輪あたりに加わる最大荷重
- 必要な走行速度と加減速性能
- 通路幅、旋回スペース、設備との位置関係
- 床面の状態、段差、勾配、必要な最低地上高
- CANopen、EtherCAT、PROFINETなどの通信要件
- STO、SLS、SDIなどの安全機能要件
- 車両内の取り付けスペースと設置方向
- 必要な位置決め精度
- 保守性と車輪交換のしやすさ
Light、Standard、Heavyのどれを選ぶべきか、 ユニットを何台組み合わせるべきかは、 荷重配分や車体構造によって変わります。 仕様検討の初期段階から専門スタッフへ相談することで、 過不足のない構成を検討しやすくなります。
ArgoDriveが設計にもたらすメリット
- 省スペース化: 全方向移動により、方向転換や切り返しに必要なスペースを抑えられます。
- 搬送経路の柔軟性: 障害物や生産レイアウトの変化に応じた移動を可能にします。
- 設計の効率化: モーター、ギアボックス、操舵、センサー、ブレーキ、接続部を 一体化したユニットとして採用できます。
- モデル間の共通性: 全モデルで共通の設置面積とインターフェースを採用しています。
- 幅広い搬送要件への対応: 3モデルと複数ユニットの組み合わせにより、 用途に応じた車両構成を検討できます。
SIMOTICS E ArgoDriveに関するよくある質問
Q.SIMOTICS E ArgoDriveとは、どのような製品ですか?
A.AGV・AMR向けに、モーター、ギアボックス、操舵機構、 高分解能センサー、ブレーキ、接続部を一体化した 駆動・操舵システムです。停止状態から全方向へ移動できます。
Q.どのような通信方式に対応していますか?
A.外部コントローラーとの組み合わせにより、 CANopen、EtherCAT、PROFINETに対応します。 安全機能の構成は通信方式によって異なります。
Q.最大荷重はどのくらいですか?
A.1輪あたりの最大荷重は、Lightが100kg、 Standardが300kg、Heavyが500kgです。 複数ユニットを用いたシステムでは、最大2,000kgの荷重に対応します。
Q.狭い場所でも使用できますか?
A.360°回転と全方向移動に対応しているため、 限られたスペースでの走行や方向転換に適しています。 実際の適合性は、通路幅、車体寸法、荷重、周辺設備などを含めて確認します。
Q.どのモデルを選べばよいですか?
A.最大荷重、必要速度、車高、最低地上高、床面条件などに応じて Light、Standard、Heavyから選定します。 車両全体の荷重配分や設置条件も考慮する必要があります。
AGV・AMRの駆動方式やArgoDriveの選定をご相談ください
SIMOTICS E ArgoDriveは、AGV・AMRに全方向移動性能を与え、 工場内物流の省スペース化、柔軟性向上、高精度な位置決めを支える 駆動・操舵システムです。
一方で、最適なモデルや台数は、搬送重量、走行速度、勾配、 車両寸法、通信方式、安全要件などによって異なります。
タカギコネクトでは、お客様の搬送条件や車両構想を確認し、 ArgoDriveのモデル選定とシステム構成の検討をサポートします。 AGV・AMRの新規開発、既存搬送システムの見直し、 工場内物流の自動化をご検討の際は、ぜひお問い合わせください。
関連リンク
SIMOTICS E ArgoDriveカタログ



















