山洋電気株式会社は、「SANMOTION」というブランドで産業用サーボシステムをラインアップしています。山洋電気は1952年にACサーボモータとDCサーボモータ、1959年にはステッピングモータを国産第１号^※として製品化しており、産業用モータのパイオニア的な存在として現在も様々な製造装置、生産設備に採用されています。

※：山洋電気調べ

今回は、数多くの装置性能・品質向上に貢献してきたACサーボアンプ ｢SANMOTION R ADVANCED MODEL｣の 後継機種として、“Evolved（進化）”、“Eco-Efficient（省エネル ギー）”、“Easy to use（使いやすさ）”をコンセプトに同社が開発した新 ACサーボアンプ｢SANMOTION R 3E Model｣をご紹介します。

目次

1. SANMOTION R 3E Modelの進化した性能（Evolved）
   • ž高速位置決め制御でタクトタイムを1/3に短縮
   • ž制御精度の向上
   • ž安全トルク遮断（Safe Torque Off）の安全性能向上
   • ž高精度タンデム運転
2. SANMOTION R 3E Modelの省エネルギー（Eco-Efficient）
   • ž   消費電力の削減
   • ž   消費電力の見える化
3. SANMOTION R 3E Modelの使いやすさ（Easy to use）
   • ž   簡単立ち上げ
   • ž   簡単サーボ調整        
   • ž   簡単トラブルシューティング
4. 動画で特徴をご紹介
   • ž   高速位置決めのデモンストレーション動画
5. まとめ

ここでは、｢SANMOTION R 3E Model｣の進化した高速位置決め、制御精度、トルク性能、タンデム運転をご紹介します。

高速位置決め制御でタクトタイムを1/3に短縮

速度周波数応答は、山洋電気従来製品比で約2 倍の2.2kHzを実現しました^※。また、位置決め整定時間は1/3に短縮しました。軌跡制御と位置決め制御をリアルタイムに切替える機能を搭載し、装置のタクトタイムを大幅に削減します。

※アンプ容量10 ～ 50A の場合。山洋電気従来品AC サーボアンプ　「SANMOTION R」ADVANCED MODEL との比較。

制御精度の向上

ゲインを高める機能や、モータ停止時の微振動を抑える機能、装置の共振を抑える適応ノッチフィルタと、フィードフォワード制振制御を搭載しました。ノッチフィルタは山洋電気従来品の4 段から5段になりました^※。工作機械の送り軸を高い精度で制御できますので、加工品質が大幅に向上します。

※山洋電気従来品AC サーボアンプ「SANMOTION R」ADVANCED MODEL との比較。

安全トルク遮断（Safe Torque Off）の安全性能向上

安全トルク遮断（STO）の安全性能を向上し，国際規格である“SIL3”/IEC61508,“PL=e”/ISO13849-1 に適合しました。高い安全性が必要な装置にもお使いいただけます。

高精度タンデム運転

ガントリ機構など2 つの軸を同期駆動させる用途において、2 軸間のモータ位置のずれをサーボアンプで相互に補正することで、高精度なタンデム運転を実現します。

SANMOTION R 3E Modelは消費電力削減の追求、見える化により省エネルギーを促進します。

消費電力の削減

新世代パワーデバイスの採用により損失を最大10%削減^※しました。 また、電力損失のほとんどは発熱源となり、サーボアンプ内部の温度を上昇させ、部品の故障や寿命に影響を与えるため、冷却ファンにより強制空冷しています。従来は、サーボアンプの内部温度に関係なく、冷却ファンの回転速度は一定であったため、モータの出力が小さい場合などは、不必要なエネルギーを消費していました。

そこで、本開発品ではサーボアンプ内部の温度に応じて、冷却ファンの回転速度を適切に制御することで、不必要なエネルギー消費を抑制しています。特に、サーボモータが停止し、機械が稼動していない状態の待機電力を最大10%削減^※しました。

※アンプ容量100 ～ 300A の場合。

消費電力の見える化

消費電力モニタ機能を搭載し、装置の消費電力の見える化が実現できます。サーボアンプがサーボモータの回転速度と電流をもとに、サーボモータ、サーボアンプの損失を加味し、消費電力量を計算し、セットアップソフトウェアやデジタルオペレータに表示します。

※消費電力モニタ機能は、R2・R1 サーボモータのみに対応しています。

簡単立ち上げ

運転のために必要なパラメータを分かりやすく表示した、セットアップソフトウェア「SANMOTION MOTORSETUP SOFTWARE」をご用意し、装置の立ち上げを簡単に短時間でおこなえます。装置を動かさずにモータ、アンプの動作をシミュレートする仮想モータ運転機能および、サーボモータ・サーボアンプ間の接続を確認できるジョグ機能を搭載しました。上位コントローラと接続せずに試運転ができます。

簡単サーボ調整

セットアップソフトウェアとの連携により、装置・負荷条件に応じた最適なチューニングモードの自動選択機能、2つのパラメータだけを調整する基本調整モード、目的別の応用調整モードなどサーボ調整支援機能を充実させました。サーボ調整に掛かる時間を大幅に短縮できます。

簡単トラブルシューティング

1ms 単位のタイムスタンプと、モータとアンプの運転状態を記録するドライブレコーダ機能により、アラームなどの異常発生状況を後からでも正確に把握でき、トラブルシューティングが簡単です。

高速位置決めのデモンストレーション動画

高速位置決めのデモンストレーションを動画で御覧ください。

SANMOTION R 3E Modelは高応答をはじめとした基本性能を進化させ，省エネルギーや使いやすさの面もさらに追及したACサーボシステムです。

モータの追従性や機械の振動を抑える機能を強化したことで、加工品質の向上に貢献します。チップマウンタ、半導体製造装置，工作機械に最適なACサーボモータです。ぜひ、お客様装置にご検討ください。