トヨタEtherCAT全面採用の決め手「EtherCAT P」の特長


トヨタ自動車(以下トヨタ)は同社の工場内で使用する産業用ネットワークとしてEtherCATを全面的に採用することをハノーバーメッセ2016(2016年4月26日)EtherCAT Technology Group(以下ETG)の記者会見にて発表しました。
会見の場ではトヨタの先進技術開発カンパニー 工程改善部長の大倉守彦氏がEtherCATを全面採用したきっかけとして、ベッコフオートメーション(以下ベッコフ)が2015年11月にリリースした新技術「EtherCAT P」についても言及したと報じられています。(参考:MONOist)
本記事では、トヨタが決め手とした新規格「EtherCAT P」の特長についてご紹介します。
EtherCAT通信と電源機能を統合し省配線化
EtherCAT PはEtherCAT通信と電源を標準的な4線式のEthernetケーブルで統合し省配線化する新技術です。1本の標準的な4線のEthernetケーブルで通信だけでなく電源供給(24V DC)も可能としたことが最大の特長です。
さらにEtherCAT Pではそれぞれ3Aまでの電流、Us(システムとセンサ用電源)とUp(アクチュエータ駆動用電源)を電気的に絶縁します。
2系統必要だった場合に比べて、省スペース、省工数、機器削減が可能になります。
24Vセンサから600Vの駆動制御装置まで幅広いアプリケーション対応
EtherCAT Pは端子台を使った小規模のリモートI/O システムでも工程間をまたぐ規模が大きい分散I/O システムでも活用することができます。
24VのI/Oレベルから64Aまでの400V ACまたは600V DCのドライブシステムを含むアプリケーションに対応します。標準のEtherCATスレーブとの誤配線を防ぐためにEtherCAT P専用のコネクタも開発されています。
ワンケーブルオートメーション(One Cable Automation)
ベッコフは将来的に大電流を伝送することが可能なEtherCAT Pを利用し、制御システムから制御盤を不要とすることを想定しています。
ワンケーブルオートメーションによりオートメーションコンポーネントや小型の端子ボックスが制御に必要な制御情報と電源を同一のケーブルで受け取ることが可能になり、必要に応じて分岐もできるので大きな制御盤が不要になるということです。
EtherCAT Pの製品ポートフォリオでは、将来的にインフラ用コンポーネントの広い範囲で、さらに拡張されるとしています。
IP 20とIP 67 対応のシステムコンポーネント
ベッコフはEtherCAT Pに対応したインフラ用のコンポーネント、I/O システム、ケーブルセットや接続用のコネクタなど幅広い品揃えを整えていく予定です。
例えば、新しいEPP シリーズEtherCAT P ボックスファミリーは制御盤の外でもフィールドに直接設置ができる多数のI/O デバイスを提供しています。これらのコンパクトで堅牢なIP 67 I / Oモジュールは標準的なデジタルI/Oから複雑なアナログ計測技術まで幅広くカバーしています。
主な特長
ここではEtherCAT Pの主な特長をご紹介します。
EtherCAT Pについて
- 100 % EtherCAT互換
- 100 Mbps 全二重方式
- 高速処理が可能
- ディストリビュートクロックによる高精度な同期制御
- すべてのトポロジーでカスケード接続が可能 (スター、ライン、ツリー)
デュアル電源
- Us (システムとセンサ用電源) :24 V DC/3 A
- Up(アクチュエータ駆動用電源) :24 V DC/3 A
- EtherCAT P対応機器へデイジーチェーンによる電源供給が可能
コネクタとケーブル
ベッコフではオプションとしてEtherCAT Pに対応したコネクタやケーブルをご用意しています。
- 産業用CAT5イーサネットケーブル:AWG22 、AWG24 (メートル単位)
- ケーブルアセンブリM8コネクタ3種(オープンエンド、両側プラグ、片側プラグ・片側ソケット)
- 現場で施工用コネクタ2種(プラグ、ソケット)
製品詳細は詳細WEBサイトまたは製品PDF(以下参照)をご確認ください。
※高木商会はETGに参加しています。EtherCATでのシステム構築をご検討中のお客様に最適提案いたします。